三重/関宿深川屋 陸奥大掾
東海道五十三次の宿場町として栄えた三重県亀山市にある、伝統的な風情が残る関宿。その場所にあるのは、徳川三代将軍・家光の時代より約380年以上続く(1642年創業)の老舗和菓子屋「深川屋 陸奥大掾(ふかわや むつだいじょう)」。伊賀流忍者の末裔で、忍びを隠すための和菓子屋だったという。
古くから襲名を守っており、初代・服部伊予保重により考案された餅菓子「関の戸」を、14代目服部吉右衛門亜樹氏が継承されている。関の戸は江戸時代から配合や炊き方が変わらず、材料も昔の単位である貫・匁(もんめ)で量り、今日も職人が手づくりしている他には無い和菓子。
糖度が高く日持ちするというこしあんを、求肥餅で包む。阿波の和三盆をまぶした鈴鹿山脈の峰に降り積もる白雪に見立てたその姿は、白く美しい仕上がり。口に広がるこしあんと和三盆の贅沢な甘み、求肥餅のやわらかさは、唯一無二と言っていい上品な味わいだ。
「いかに変わらずに今をどう守っていくかが課題」と服部さんは言う。変わらぬ伝統の味を続けることの大変さは私たちの想像を超える。それでも、新商品の開発や地元関宿での文化継承など、更に歴史が続いていくことを楽しまれているように見えた。おいしさの背景に日本の文化やつくり手の想いがあることを、この一粒から歴史に思いを馳せて味わってみてほしい。
店舗情報
店名 |
深川屋 陸奥大掾 |
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住所 |
〒519-1112 |
電話番号 |
0595-96-0008 |
最寄り駅 |
JR関西本線関駅から徒歩8分 |
営業時間 |
9:30〜17:00 |
公式HP |