甘辛問答無味感想 vol.4 | 旅するように和菓子と出逢う(旅わが)

江戸からつづく SDGsな春餅たち

甘辛問答無味感想 vol.42022.04.05

甘辛問答無味感想  vol.4
春は短いと思う。


暦の上では3か月あることになっているけど、


3月上旬はまだ冬っぽくて、


5月になると急に夏みたいになって、


その上、春は天気が変わりやすいから、


体感的に「ちょうどいい」、


そう感じる日が年々減っているような


気がする。


これって地球温暖化のせい?  






そんな2022年の春だけど、


お菓子屋さんの店先には


春の和菓子が勢ぞろいして、


ワクワクしてくる。


草餅、ぼた餅(牡丹餅)、さくら餅、


それに柏餅と粽(ちまき)。


どれも一年中食べられるけど、


蓬(よもぎ)、桜、柏、笹など、


春らしい自然素材を使っているから


この季節にいただくのがやっぱり最高。


味覚だけではなく、


季節を香りと手ざわりで楽しませる


ところが 日本人ならではの感性の


豊かさといえるでしょう。


などと感心しながらふと思うのが、


この和菓子たちって、いつからあるの?


という素朴な好奇心。






歴史をひもといてみました。


だいたい江戸中期ごろですね。


たとえば、さくら餅。


暴れん坊将軍徳川吉宗が


隅田川に桜の植樹を命じたことが


誕生のきっかけらしい。


今風に言うと公園整備というところですが、


問題がひとつ。


桜の葉が大量に散るので、


それを掃除するのが大変。


そこで、その葉っぱを塩漬けにして


餡入りの餅をはさんで売り出したら、


なんと大ヒット。


記録によると38万個売れた年もあったとか。






端午の節句でおなじみの柏餅も


九代将軍家重の時代からある。


柏の葉は新芽が出るまで落ちないので、


子孫繁栄の縁起をかつぎつつ、


葉が硬いのでお皿代わりになる


実用性もある。


こういう自然の姿をうまく活かすところが


日本人らしい。






それから400年以上経って、今は21世紀。


環境問題に悩む現代人から見ると、


葉っぱ1枚無駄にしない、


もったいない精神が


崇高にすら見えてくる。







江戸時代は、お団子ひとつにも


学ぶべきことが多いような。
甘辛問答無味感想とは