甘辛問答無味感想vol.20 | 旅するように和菓子と出逢う(旅わが)

わたくし、お餅の味方です

甘辛問答無味感想vol.202023.12.01

甘辛問答無味感想vol.20

わたくし、実はお餅が大好きなのです。

一年中ほぼ毎日食べています。


本当です。

2週間おきくらいにスーパーで買っています。


お疑いでしたら、

レシートを証拠物件として提出します。


いつも朝食にいただいています。


お餅は保存性がよく、


焼くだけですぐに食べられ、


食べ方にもバリエーションがあり、


新聞やスマホを見ながら

片手で食べることもできます。


バターにしょうゆ、


オリーブオイルに塩、


海苔で巻く、チーズをかける、


あんこをのせる、


どれをとっても、


ものの数分でできてしまいます。


後片付けも簡単です。


ほら、めちゃくちゃ朝食向きではないですか。




お餅の売上グラフを見ると

年間売上の約4割が12月に集中しています。

それ以外はあまり売れていません。


日本に住んでいて、


手軽に安く買える環境だというのに、


お正月しか食べないなんて、


あまりにもったいない。



言うまでもなく、


お餅は日本の食文化の原点です。


弥生時代に稲作が伝来した頃から、


お餅を搗いてお供えしていたようです。


当時、白くて丸いお餅は


とても貴重で神聖な存在だったのでしょう。


鏡餅の丸い形は家族円満を表し、


お餅を重ねた姿は、


円満に年を重ねる意味を表します。


重ね餅は月と太陽、


陰と陽を表しているとも言われています。


月と太陽は太陰暦と太陽暦につながり、


暦が当時の農業を支える、


最新の科学知識だったという想像を


刺激します。





実は最近気づいたことがあります。


旧暦の時代、元日は


いつも新月だったということ。


旧暦は、新月から満月を経て


再び新月になるまでを1か月とするので、


1月1日が毎年新月に当たるのは


当然なのですが、


そんなことも分かっていなかったのです。





毎月の初日を「ついたち」と呼び、


最終日を「つごもり」と呼びますが、


それぞれ、月が現われはじめる「月立ち」、


月が隠れてしまう「月籠り」から来ている


呼称だそうです。


このように旧暦は


月の運行とシンクロしているから、


カレンダーがなくても月を見れば、


今日がおおよそ何日かが分かる訳で、


旧暦って意外に便利かもしれません。


漁業関係者は今でも月齢表を大事にしています。


潮の干満、つまり月の引力が

仕事に影響するからです。


釣具屋さんで月齢カレンダーが売られているのは、


今でも役に立つからで、

風流だからではありません。





旧暦が新暦に切り替わったのは明治時代です。


そのせいで元日に当たる日が


大きくズレてしまいました。


旧と新とではおよそ1か月ズレています。


今の立春の頃が旧暦時代の元日ですね。


しかし、2月と言えば一年で一番寒い時期。


なぜそんな時を新春としたのかという


疑問が湧きますが、


それは、「一番寒い時期を乗り越えたよ」、


「これから暖かくなるよ」、という意図が


こめられているからだとか。


北欧では冬至を起点、


つまり一番昼が短くて暗い時期を


1年のスタートにしているようですが、


日本では最高に寒い時期を


春のはじまりにしたということです。


地域や民族によって、


季節の捉え方はさまざまでしょうが、


いずれにしろ、一番暗かったり


寒かったりする日を新年とすることで、


その後に希望を持たせるという発想は


共通なのかもしれません。





さて、今年一年はどんな年でしたか?


良いこともあれば、


悪いこともあったでしょうが、


お正月はそれらをご破算にして、


みんなに等しく希望を与えてくれる日です。


何かとタイパが重視される


世知辛い世の中ではありますが、


年末年始くらいは長~くのびるお餅のように、


のんべんだらりと過ごしたいです。


私は朝だけでなく


昼も晩もすべてお餅にして、


お餅の日常化に寄与する所存です。





甘辛問答無味感想とは

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