甘辛問答無味感想vol.19 | 旅するように和菓子と出逢う(旅わが)

カボチャが笑う収穫の秋

甘辛問答無味感想vol.192023.10.20

甘辛問答無味感想vol.19

近頃、びっくりするくらいに盛り上がっている


秋のイベントがハロウインですね。


いつからこんなに人気になったのでしょう。


前世紀までは、知る人ぞ知るちょっとマニアックな


イベントという感じでしたが、


最近は、街中でも家庭でも当たり前のように


カボチャやゴーストがあふれているし、


10月末ともなればコスプレし放題。


電車の中が奇々怪々な

魑魅魍魎(ちみもうりょう)どもで


満員だったりして、

ふつうの恰好をしているこっちが


恥ずかしくなったりします。





ハロウインが日本で大人気になった


理由のひとつがホラー風味でしょう。


漫画や映画など、日本中でホラー的なものが


受けていることと関係ありそうです。


クリスマスと同じで、おとなとこどもが


一緒に楽しめる季節行事ですが、


お行儀のいいクリスマスとは対照的な


悪い子ぶりが痛快だったりします。


世界に名だたるサブカルJAPANにこそ


ふさわしいように思えます。





さて、ハロウインの象徴といえば、


三角にくりぬかれた目と


ギザギザに刻まれた口が

印象的なカボチャですね。


怖い顔なのに、ロウソクに照らされた


不気味な笑い顔が、


ちょっとユーモラスでさえあります。


正式にはジャック・オー・ランタンと言います。


オーランタンという人の名前かと思っていたら、


違いました。


ランタン(提灯)なのですね。


ジャックという悪人が、悪魔を騙したことで


天国にも地獄にも行けなくなり、


カボチャのランタンをぶら下げて


この世をさまよい続けている、


という伝説がこのランタンの起源だそうです。


神からも悪魔からも見放されるなんて、


悪人とはいえジャックは寂しすぎますね。





このランタン、ハロウイン発祥の地


アイルランドではカブを使うそうです。


ハロウインは移民と共に

アメリカに伝わりましたが、


アメリカにはカブがあまりなかったので、


カボチャを使うようになりました。


これは大正解でしたね。


ハロウインの象徴として、あの不気味に笑う


カボチャ以上のものはちょっと考えられません。





ハロウインは、ホラー映画ファンには


ブームになるずっと前からおなじみでした。


「ET」をはじめとするアメリカ映画に


よく出てきますが、


なんと言っても1978年公開の映画、


その名も「ハロウイン」が強烈でした。


ハロウインの夜に姉を惨殺した男の子がやがて


ブギーマンとなって、

連続殺人を繰り返すシリーズは


今でも新作が生まれているほどの

人気シリーズです。


毎回、ラストで銃弾を浴びまくったり、


ガス爆発に巻き込まれたりして

絶命したはずなのに、


次作では何事もなかったかのように


登場してくるのがお約束ですが、


天国にも地獄にも行けずにさまよう


ジャックの化身だと思えば納得です。





閑話休題、本題に戻りましょう。


カボチャの起源はとても古く、


栄養価が高いこともあって、


人類の歴史と共にあるといってもいいほど


身近な食物です。


栽培が容易で、品種によっては数百キロもの


巨大カボチャに育つなど、


他の野菜類にはない見た目のユニークさもあって、


キャラクターとしても人気モノです。


日本には戦国時代頃に伝わりました。


甘みが強くて色もきれいなので


和菓子にも使われてきました。


しかし、いくらブームだからといって、


和菓子にホラーイメージのハロウインなんてどうよ、


などと思われる向きもあるかと思いますが、


そこは季節を表現するのが

得意な和菓子ですから、


秋の収穫の象徴としてハロウイン和菓子が


定番になっていくのは必然だと思います。





もちろん「旅わが」サイトでも


ハロウイン和菓子を紹介しています。


いつもなら秋らしい上品なライティングの写真で


お見せするところですが、


ハロウインを意識して、

ここは心持ち陰影を強めた


写真にてご紹介しています。


「夜のお菓子」として、

深夜のホラー映画のお供として、


チェックしてみてはいかがでしょう。





甘辛問答無味感想とは

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