甘辛問答無味感想vol.17 | 旅するように和菓子と出逢う(旅わが)

甘党と辛党、実は一卵性双生児?

甘辛問答無味感想vol.172023.07.21

甘辛問答無味感想vol.17


辛党の本来の意味は?

最近、知ったことがあります。

甘党、辛党という時の、

「辛党」の本来の意味を知らない人が

増えているということを。


甘党は甘いものが好きな人で、

辛党はお酒が好きな人のこと。


これが本来の意味ですが、

辛党を激辛食品が好きな人と思っている人が

増えているそうです、近頃は。

ネットで検索したら、

「辛党の使い方が間違っている!」

という解説ばかりで驚きました。

最近はお酒を飲む人が減っているので、

無理ないことかもしれません。



さて、このコラムのタイトルは

甘辛問答となっています。


これは、私自身、和菓子が好きだけどお酒も好き、

というアンビバレントな心持ちを

表わしたものです。

いつも和菓子のことばかり考えているのではなく、

半分くらいはお酒のことも考えている。

これって、和菓子絶対主義の人から見ると、


日和見主義ではないか!と思われそうですが、

視点を変えることで、逆に和菓子の新しい魅力が

見えてくるのではないか、

そのような意図(言い訳?)もあるのですけどね。







和菓子とお酒、実は原料が一緒

お菓子とお酒は、

食生活における必需品ではなく、


楽しみのためにある嗜好品という位置づけです。


しかし、その立ち位置は真逆です。


甘党(お菓子好き)と辛党(お酒好き)なんて、


まるで政党の派閥争いみたいに

対立的な分け方です。


日本人の場合、

体質的にアルコールに弱い人が多いので、

この区分けにこだわる人が

多いのかもしれません。




しかし、よく考えてみると、


お酒とお菓子は原料が一緒ではないですか。


どちらもお米や麦や芋から作られます。


ただ、お酒とお菓子では、


それらを楽しむ場所や雰囲気がかなり違います。


かつて、お酒は男たちの楽しみの中心にあり、


お菓子は女たちの楽しみの

中心にある感じでした。


戦争映画の中で、食料が乏しい状況において、


男たちはお酒を密造し、


女たちは、こっそりお菓子を作る場面が

よくあります。


お菓子もお酒も、

こんな状況下では主食よりも重要で、

苦しい時こそ、

人を元気にしてくれるものなのでしょう。






酒饅頭というハイブリッド


大リーグの大谷翔平さんは、

投手と打者の二刀流で、

野球のおもしろさを倍加させてくれました。


甘党と辛党の二刀流も、

食の楽しみを倍加させられそうです?




お酒と和菓子の二刀流、ではありませんが、


両者がハイブリッドしたような


酒饅頭(さかまんじゅう)というお菓子があります。


その名の通り、酒種を仕込んで

発酵させたおまんじゅうです。


その原点は、中国の三国志の時代にさかのぼり、


日本には鎌倉時代に伝わったと言われています。


酒種の働きで皮がふっくらとしていて、


こしあんのなめらかな食感と、


お酒のほのかな香りが、

絶妙なおいしさを醸し出します。


ほろ苦いお茶と共にいただけば、


こんなに満足感の高い組み合わせは、

なかなかありません。

酒饅頭が日本のおまんじゅうの

原点と言われていますが、

納得ですね。







甘辛問答も二刀流?

話は変わりますが、

「ビタースイートサンバ」という

曲をご存じですか?


ラジオの深夜放送「オールナイトニッポン」の、


テーマ曲としてよく知られています。


歌詞のないインスト曲なので、

そもそもどのような意図で


作曲されたのかは知りませんが、


苦さ(ビター)と甘さ(スイート)が混ざりあう


ほろ苦いセンスは、まさしく、

大人な感覚だと思っています。



ということで、サイトもリニューアルしましたし、

これからは、甘辛の両方に目配りした話題を

提供できればと思っています。

甘辛問答無味感想とは