甘辛問答無味感想vol.13 | 和菓子でdolce vita(ドルチェ・ヴィータ)

和菓子でdolce vita(ドルチェ・ヴィータ)

甘辛問答無味感想vol.132023.02.06

甘辛問答無味感想vol.13

1960年のイタリア映画

「甘い生活La dolce vita」は、

映画史上のひとつの到達点といえる作品です。


ここには、いわゆる名作映画に不可欠な


わかりやすい感動も教訓もありません。


しかし、映画全編に見られる


デザイン、ファッション、

建築、インテリア、料理、


そして音楽の妥協のない見事さは、


主人公たちの即物的な

ライフスタイルと相まって、


イタリア映画ならではの最高にクールな


大人の雰囲気に満ちています。


何度観返しても、

ため息がでるほどのカッコよさです。




この映画に代表されるように、


イタリアは永い歴史に裏打ちされた

美意識の国ですが、


ローマ帝国時代には、

「士気が下がる」という理由で


兵士の結婚を禁止していたそうです。


イタリアらしくない無粋な話ですね。


ところが、そのルールに逆らって、


兵士の結婚を認めた司祭がいました。


聖ヴァレンタインです。


ヴァレンタインは、皇帝の怒りを買い、


改宗すれば命を助けると言われますが、


それを拒否したために

2月14日に処刑されました。


これがバレンタインデーの起源だそうです。


バレンタインデーの甘いイメージの裏に、


こんな愛に殉ずる歴史があったというのも

イタリアらしいお話です。





さて、そんな歴史も知らずに

今年のチョコはなにがトレンドかしら、


などと考えている人がいたとしたら、


老婆心ながら申し上げます。


バレンタインデーにチョコレートを贈る習慣、


それ、日本だけです。


かのイタリアでは、


男性が女性に花を贈るのが基本だそうです。


では、日本でチョコレートを贈る習慣が


なぜ生まれたのかと言えば、


それはチョコレート業界の長年にわたる


セールスプロモーションの成果ですね。


ならば、当「旅わが」としては、


バレンタインデーには

和菓子を強くお勧めしたいのです。


最新の和のスイーツは、


季節のフルーツ、ハーブ、ナッツ類を使い、


見た目にも意匠を凝らした逸品ぞろいです。


高級ブランドチョコレートにも


まったく引けを取りません。


世界が和菓子に注目している時代です。


イタリアに負けない美意識の国の住人として、


ぜひ、こちらにも注目してほしいものです。


味覚のマリアージュ、フルーツやハーブの香り、


柔らかな食感、キュートで美しいデザイン、


そして、そこにあなたのひと言を添えることで、


大切な人の五感と気持ちを

独り占めすること請け合いです。





映画「甘い生活」の原題は

「La dolce vita」です。


dolce(ドルチェ)は甘いという意味で、


デザートのことも指します。


タイトルの意味するところは、


現実を見ることなく、

享楽的に生きる主人公たちを


揶揄(やゆ)したものですが、


この日くらいは

ドルチェ・ヴィータな気分に浸る、


あるいは浸ってもらうのも

いいような気がします。

ですよね、マルチェロ。

甘辛問答無味感想とは